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淀川カピバラ調査隊 (2010エイプリルフール企画アーカイブ)
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カピバラと間違われる動物のナンバーワンはなんでしょうか。

動物園の展示場の前では、「あ、イノシシだ」と言う声をよく聞きますが
総数で言ったらヌートリアでしょうか。同じテンジクネズミ型の囓歯目で、
半水棲で草食で南米出身。
非常に共通項が多いため、両方の区別がついていない、または
カピバラしか知らないヒトが野生化したヌートリアと出会った場合に
「鴨川でカピバラを発見した」「児島湾にはカピバラの集団生息地がある」といった
目撃談が数多く生み出されてしまうわけです。




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写真は池田動物園で展示されているヌートリアさんです。
動物園で見ると全身をゆっくり観察できるので
大きさの違いやカピバラにはない長いシッポ、オレンジ色の前歯
水かきが後肢だけにあって前肢にはないようす…などがよくわかり
明らかにカピバラではないということがわかるのですが
パーツ的に似たところがところどころあって、
遠目や藪の中にいる場合に見間違えやすいかもなあ…と思ったりします。
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しかしヌートリアは戦時に毛皮を取るため移入・養殖されていたものが捨てられ、西日本の河川沼沢地で繁殖しまくり、現在は特定外来生物に指定されているという事実があるのに対し、カピバラにはまったくそういう歴史がありません。
(註1:「食用のため日本に輸入されたのがカピバラが日本に来たのが最初だ」というコトがまことしやかに言われているのを聞きますが、この件に関しては根拠となるソースが明らかになっていません。)

従って、西日本で目撃された大型のネズミはヌートリアと言い切っていいハズです。
(註2:もうひとつの特定外来生物指定を受けている、ヌートリアとよく似たプロフィールの大型ネズミ・マスクラットは、現在のところ関東圏のみ)

しかし本当にそう言えるのでしょうか?

大々的に飼育されていたことはなくとも、たとえばうっかりした動物園が逃がしたり、個人で飼育しようとしたけれど手に負えなくなって捨ててしまった無責任な飼い主が過去に無かったと断言できるでしょうか?
もしかしたら本当にカピバラを目撃したのに、上述の定説にとらわれて、重要な情報が無いことにされているかも知れません。武庫川で昔カピバラ見たで、とカピ舎の前で言ったところ、息子に即座に「それヌートリアでしょ」と指摘されて「いや、世間一般にはそういわれてるけれど、オレもそう思ってたけど、それはほんまにカピバラやったんや」と嘘の上塗りをしてしまうお父さんの話(実話)が実は真実を語っていたのかも知れません。
もし万が一生息していた場合、直ちに保護し、これ以上増えて悪役扱いされてしまうという危険を未然に防ぐ事が出来るかも知れないではないですか。
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ということで来ました、ここ淀川へ。

淀川は非常に「カピバラを見た」という目撃談の多い場所です。
もちろんヌートリアが多く生息している…というということなのですが
南米出身・半水棲・草食のヌーちゃんが暮らしているのなら、カピバラにとっても
住みやすい環境であることは間違いありません。
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さて、とりあえずヌートリアを探してみようかと
川辺へ降りていったところ…

いきなり…

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                  目の前にヌーちゃんイター!!!
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思わず興奮してしまいましたが、しかしあまりにいきなりだったので、いやほんと。
どれだけイキナリだったかと申しますと、目的地の最寄りのバス停を降りて、まっすぐ川へ向かい、土手を降りたその真正面の川辺にいました。
あまりにもあっけない出会いにびっくり。
もしかして淀川にヌートリア、2万匹ぐらい棲んでるんですか!?
両前肢を上手く使ってなにか囓っています。
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「手を上手く使う動作」が出来るか出来ないかというところもカピバラとの大きな違いでありますね。シッポが水中にあって見えていないのですが、目を引くオレンジ色の前歯、固そうで目立つ白いヒゲ、明らかにカピバラとは別物です。
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                しかしこれはちょっとカピバラっぽいかも。
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              こっちはビーバーっぽいですな。(すべて同一個体です。)



動画。手を上手く使ってお食事のようす。
潜ってゴハンをゲットしているようなので、この植物の根っこ部分なのでしょうか。

5メートルほどの距離ですが、囓る音も聞こえるぐらい静かでした。
伊丹空港発着の飛行機の音と水鳥の声が響くぐらい。
実は釣り師があちこちにいるのですが、実に静かです。
ヌーちゃんをずっと観察撮影していたら横10メートルほどで
釣りをしていたおじさんに声をかけられました。
「何がおんの?ヌートリア?」「あ、はい」

このあと「ぬーちゃんにゴハンをあげよう」とパンや野菜の袋を携えた親子ともすれ違ったりで、ヌートリアという名前と存在はこの辺りでは認知されているようです。

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別の場所。もう一匹。この子をケータイで撮影しようと奮闘中の青年が一名。
撮影しているワタクシに「あれ何ですか?」と聞いてきてくれたので
「ヌートリアです、南米から輸入されたのが野生化したでっかいネズミ。
よくビーバーなんかと間違えられるけど違うんです」と説明。
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ぬふーんとした表情。かなりカピバラっぽい。シッポ見えてますけど。
こういう風にしっかりした知識を広めることが出来れば
「カピバラを見た」という目撃談が今後出てくることはないはずなんですが。
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淀川は水鳥たちの楽園でもありました。
2時間半ほど歩き回りましたが、結局見たヌーちゃんはこの2頭のみ。
2万匹はいないようです。
現地に着いたのが正午前だったので、朝早い時間ならもっといたのかも知れません。
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漂着したゴミだまりでたくましく生きるアカミミガメたち。ちびカメもいます。
この子たちも外来生物なのは有名なハナシですね。
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右端は散水車、取水中。(←いいづらい。)
いかにもヌートリアが棲んでいそうな景色です。
カピバラもいそうですが…これだけ歩き回っても見つからず、
やはり、カピバラは淀川には棲んでいないのでしょう。
もちろん鴨川にも、播磨地区のため池にも。
まあ、調査をしたというだけでも満足です。野生のヌーちゃんも見られたし。

と、その時、向こうの方で「カピバラやーカピバラが出たでー」という声が聞こえてきました。
ああ、ヌートリアだね、と苦笑いしてその方を見ると、水面になんだか不穏な動きが。

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                    えっ、えっ、なんだあれ…?

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                 あ、あ、あれは…か…かっ………
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             カピバラだーーーーっ!!
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なんと、水面を割ってカピバラが現れました。いたんですね、カピバラ!
それにしてもデカい!!ヌーちゃんとは比べものになりません。
さすが世界最大の囓歯目!!!!
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                 あっカピバラが陸地へ移動を始めた!
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              あっカピバラが水門を乗り越えようとしている! 
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水門を出て市街地を抜けるカピバラ。追って中津までやってきました。
このすぐ先は大阪の中心地です。まさか…
 
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         カピバラ、梅田に現れました!!

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        カピバラ、丸ビル囓っちゃだめーー!!












と言うことで以上、今回の調査をまとめますと





淀川にはカピバラが生息していることがはっきりしました!









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今度こそ本当にお疲れ様でした。いろいろ、お疲れかと思います。

ネタを二重にしてみたわけですが、二つネタを考えついてどっちにするべきか悩んだ末の
玉虫色の解決的なものではありませんから。決して。

今年はこういうネタなのね、とこちらのネタに気づかず
ページを閉じてしまったヒトもいるかも知れませんが、ま、それはそれで。

画像の加工はめんどくさかったけれど、特撮映画を作ってるみたいで楽しかったです。
梅田ヨドバシの影から姿を現すところと、河岸に上がるところは「クローバーフィールド」風、
毛馬の閘門のシーンは色味の違いや合成のフチが残っている所など
むかしのブルーバック合成風に仕上げて、個人的にたいへん気に入っております。


■出演

 かーたん(大阪海遊館)

 ぴーたん(大阪海遊館)

 淀川のヌートリアさんたち

 池田動物園のヌートリアさんたち

■特別出演

 カピ子さん(池田動物園)=丸ビルを囓るカピバラ
 ハク(神戸市立王子動物園)
 ムムさん(神戸市立王子動物園)

 熱海城(ミニチュア): 東宝映画「キングコング対ゴジラ」(1962)より

■ロケ地 
 
 淀川河川敷

 大阪市大阪駅付近

■参考資料
 
 「外来種ハンドブック」(地人書館)
 「日本動物大百科 第2巻 哺乳類2」(平凡社)
by capybaraengine | 2009-04-02 23:59 | ネタ
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